東前院緣起
五条ヶ丘から一歩下がった処に大きな杉が二本立っている奥にある寺が
常盤山 東前院である、栃代川に面して東村を一望できる処に有り
村の古老の話によれば、近郊の古寺より速い時代の創建であるとの事
曹洞宗の寺院として元亀三年(一五七二)創建である事が記されている
甲斐源氏の常葉氏の菩提を弔う為、馬場五郎左衛門信輝が、常葉村
台に開基となり、 東前院を開創した(法名東前院殿隣翁良英庵時主霊位)
馬場氏の菩提寺である常幸院、二世溪屋自健大和尚を開山に招いたと
されている。故に山号を常葉山と称する。
現在の東前院の前は、身延町役場下部支所の駐車場になっているが、
以前は水田が広がっていた。その水田の中にかなりの威容を示した大伽藍
の礎石が敷いてあり、幾たびかの火災や地震などの災害を受け
再建できず、明治初期に現在の地に古民家を移築し、仮本堂と住居とし
ていたが、平成十一年に、二十三世得信龍道大和尚のもと、檀家一体となり
新伽藍が新築再建された現在に至っている。
この地域の地名で、当山の山号にもなっている常葉とは、清和源氏の流れ
をくむ甲斐源氏の一族である。